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執筆者の写真YUJIN SAGISHIMA

学生が竹林管理のアクターになる:藤沼教授インタビュー後半

皆さんこんにちは。SDGs推進室の町井です。藤沼教授インタビューの前半にて、ICUキャンパスにおいて、主に竹林の拡大により周辺環境の荒廃が進んでいる現状をお伝えしました。そして、この原因は、人為的に作られた自然、「里山」であるにも関わらず、十分な維持管理が行われていないことにあります。では、誰が竹林の維持管理を行うのでしょうか?環境研究メジャーの藤沼教授に聞いてみました!


現在のICUにおける管理体制

現在、ICUの竹林管理は、環境研究メジャーの教授である藤沼教授、上遠教授を中心に行われています。そのほか、自然観察サークル「やんもり」のメンバーによるたけのこほりや、実習授業「環境アセスメント実習」の学生による竹林伐採を通して管理が行われていますが、その頻度は十分ではないため、竹林の成長スピードに対応できていません。既に竹の侵食は進みすぎており、従来の生態系が失われつつある場所もあるため、私たちで管理出来ないならば、業者や地域の人々等を含めたいろいろな手段を考慮する必要がある、と藤沼教授は考えているようです。


教育機関であるICUには、生態系保護を行う義務はありません。しかし、足を踏み入れることができないほど竹が生育しているような、学生が立ち入るには危険すぎるエリアもあります。ICUの自然の生態系がもたらす、教育機械の提供といった文化的サービスを持続的に利用できるように、これ以上の拡大を防ぐ必要があります。


学生は竹林管理のアクター

なぜ管理に携わる人がこれほど少ないのでしょうか。理由の一つとして、現時点ではICUとしての竹林拡大への具体的な対応策が確立されておらず、予算や管理体制が整えられていないことが挙げられます。しかし、大学は、ICUの森林は教育のために存在するため、あくまで学生が考えたことを実践する場として利用されるべきだという立場にあり、学生の意思に基づく主体的な活動を求めています。現状に課題意識を抱いたならば、どのような環境を求めるのか、そのビジョンを実現するために自ら活動しなければならないということです。


現在、藤沼教授はICUの自然環境を分割し、目的に合った管理を目指されています。例えば、武蔵野地域の生態系を維持するために一度竹林を皆伐するエリア、完全な放置状態の環境で独自に発展した生態系を守るために管理をあえて放棄するエリア、自然環境の体験・教育の場として適切数を伐採するエリア、というようなゾーニングです。みなさんは、どのような自然環境を求めますか?


竹林課題への具体的な関わり方は?

学生の教育のための空間であるため、放置竹林の管理手法を考える場、管理を実践する場としてぜひ用いてほしい、というのがICUとしての立ち位置でした。一方で、授業等を通じて竹林の現状に問題意識を持つものの、どのように管理を実践すればいいのか分からない、という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方には、ファーストステップとして、環境アセスメント実習への参加をおすすめします。自然状況を調査し評価する方法や、環境保全の一環として竹林管理の手法を学ぶことができます。


この実習は、学生主導の企画を進める際に見落とされがちな、リスクマネジメントを学ぶ場としても機能します。例えば、藤沼教授は学生との竹林管理において、ナタを使用しません。薪をわる道具として一般的ですが、大きな力を出せる分、指を切り落としてしまうといった事故が発生しやすいためです。手袋やヘルメットを着用する、ナタを使わず手ノコギリを使う、怪我した時の救急装置を計画する、など、慎重な安全管理が、持続可能な保全活動には不可欠ですね。


また、竹林課題には多様なアプローチ方法があります。現在、竹林伐採やたけのこほりを中心とした管理が行われていますが、伐採した竹を炭にして利用するのも、一種の管理方法です。伐採して3年ほど自然乾燥させた竹を、ICUのキャンプ場の火おこし場などで燃やして炭化させれば、優秀な土壌管理材に生まれ変わります


過去に武蔵野で実現した、地産地消を通した資源利用による竹林管理を実現できたら、面白いなと思います。現在、ICUのサークルである「Slow Vill」や「地産地消プロジェクト」が、JA東京むさし三鷹地区青壮年部や地域農家の方と連携して、キャンパスの落ち葉を利用して堆肥を作り、昔ながらの「地産地育」の実現を目指しています。竹も同様に価値のある資源であり、伐採した竹をどのように活用するかを考えてみませんか?


最後に

後編となる本記事では、ICUの竹林に関する管理体制や、学生が竹林管理のアクターとしてどう関わっていくかについてまとめました。ICUのキャンパスの自然について感想を聞くと、「豊か」「美しい」といった声を聞きます。しかし、その美しさは管理があってこそであり、管理の間に合っていないエリアでは植生の荒廃が進んでいます。本記事を読んで、もっと竹林課題について知りたい、実際に竹林管理に参加したい、と感じた方は、ぜひ環境アセスメント実習の記事もご覧ください。以上、ここまで読んでくださりありがとうございました。


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