ICUでは環境研究メジャーの授業の一つにENV102 環境アセスメント実習があり、夏季・秋季休暇中に開講されています。ここでは、「開発事業による自然環境への影響を事前に予測し評価することで環境影響を最小にする手続き」(シラバスより)である環境アセスメントを学び、講義とICUキャンパス内での実習によって環境保全への理解を深めます。今回は、2021年度の環境アセスメント実習参加者で、SDGs推進室メンバーにも所属する3名、24町井さん、24平通さん、23ウィリヤードさんに、授業での体験と学びについて伺いました。この記事では、そのインタビュー内容をお届けします。
【環境アセスメント実習の概要】
ENV201 E開講 環境アセスメント実習
実習時期:夏季休暇中、秋季休暇中に各二日間(予備登録は第一学期に行う。科目登録は第三学期に担当教員が一括して行う。)
夏:ICUのキャンパス内で環境アセスメントの実習を行います。広葉樹や針葉樹の植生のアセスメントや、竹林に入り人間が管理している箇所とそうではない箇所の観察をしたり、雑草を取り除き絶滅危惧種の保全活動をおこなったりします。
秋:ICU内の竹林で竹を伐採したり、ICUの近くを流れる野川を国分寺駅からICUまで実際に歩き野川の管理者によって、河川敷の様相の変化を比較します。
「まず、環境アセスメント実習に参加したきっかけは何でしたか?」
平通さん)コロナ禍で対面授業や実習形式の授業が少ない中で、学びを体感してみたいと思ったからです。
ウィリヤードさん)私は環境メジャーです。海外に長くいた後にコロナ禍になったため、実習する機会も少なく、屋外の活動を通して学びたいと思ったからです。
町井さん)私は生物と環境を中心に学んでいるので、実際の現場を見てみたいと思いました。また環境研究メジャーの藤沼先生の授業を履修していたのもきっかけでした。
「コロナ禍で屋外の経験が少ない中でも、ICUのキャンパス内で自然に接し学ぶことができたのですね。学びを体感する姿勢は、ICUの行動するリベラルアーツの考え方にもつながりそうです。」
「次に、授業で印象的だったことを教えてください」
平通さん)実際に森に入ることで得られる気づきが多くありました。ICUキャンパス内の森は想像以上に広く、”自然”として残されている森(人間の手を加えていない森)があることに驚きました。生態系の変化や森の状況を見て、緑があれば自然豊かであるとは限らないということも感じています。
町井さん)傍観者のまま自然を見ていたら、自然が破壊されてしまうのではと危機感を覚えました。上流はコンクリートで固められているのに対しICUに近づくと人が遊べるような川になっていく野川の河川敷設計の違いが印象的でした。
ウィリアムさん)ICU内の森の異なる表情をみることで生態系の違いや生態系の循環を感じました。また一本の竹を切るにはかなりの資金が必要で、森を管理する経済面での大変さもあると気づきました。
「体感して気づくことで、森を守るとは何かを考える機会になったのですね。」
「授業に参加する前後で変化したことはありますか?」
平通さん)価値ある知識を得るためには、自分の目で見て、行動に移さなければならないと思うようになりました。
町井さん)生態系サービスの破壊は深刻な問題ですが、関心のある人だけが活動に参加するようではいけないと感じました。レクリエーションの形で竹林マネジメントに参加してもらうなど、参加するハードルを下げるべきだと考えています。
ウィリヤードさん)自分の目で自然を見て、竹を切って身体を動かして、生態系から私たちがどれほど恩恵を受けているのかを認識しました。
「最後に、どんな人に授業を受けてほしいですか?」
町井さん)環境メジャーでなくても、初心者であってもおすすめです。また藤沼先生の授業を履修している人にも良いと思います。
ウィリヤードさん)授業では実際の現場に入ることが少なく、理論中心の傾向にあるので、環境研究メジャーの人にもぜひ取ってもらいたいです。
平通さん)キャンプやスキーなど普段から自然と関わることが好きな人に、ぜひ人間の手によって管理された自然と人間の手を加えていない自然との違いを体感し、自然とは何か考えてもらいたいです。
「環境研究メジャーの人、アウトドアスポーツが好きな人をはじめ、環境に興味を持ちはじめた初心者にも幅広くおすすめの授業なのですね!」
貴重なお話をありがとうございました。
【編集後記】
ICU内は自然に溢れているというイメージを持っていましたが、環境や生態系の面から考えると、必ずしも自然豊かといえないかもしれないと思いました。実際に授業に参加した方のお話を聞いて、自ら行動して環境に向き合う大切さを感じます。今回の記事を通じ、興味を持った方はぜひ、ENV201環境アセスメント実習を履修することを検討してみてください!
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