イベント概要:
12/15(木)に第2回SDGs座談会が、東ヶ崎潔記念ダイアログハウス2階の中会議室にて開催されました。第2回目のテーマは「インクルージョン」で、「社会の違和感に気づき、私たちはどんな社会構造の中で生きているのか考える」ことがゴールでした。今回は学生や教職員を含め、5名の方に参加していただき、ゲストには西村幹子先生と高松香奈先生をお呼びしました。先生方からご自身の専門分野における「インクルージョン」についてのお話を伺った後、参加者全員で社会に対する疑問や違和感について語り合いました。
SDGs座談会について:
「SDGs座談会」は、SDGsに関連するキーワードをテーマとして、ゲスト教授2名と参加者(ICUの学生や教職員対象)が自由にディスカッションするイベントです。幅広い学生がSDGsに関心を寄せる今、「自分事としてSDGsを多角的にとらえ、課題解決の為に行動するためのマインドセットを養ってもらいたい」という思いから、SDGs推進室の学生メンバーが企画と運営を行っています。また、教授と学生というポジショナリティを超えて相互に学びあう環境をつくり、リベラルアーツ実践の場を提供することを目的としています。
プログラム:
12:50-13:00 オープニング:SDGs推進室と本イベントの紹介
13:00-13:10 アイスブレイク:参加者の自己紹介
13:10-13:25 西村先生からのお話:教育の排他性について
13:25-13:40 高松先生からのお話:国際関係におけるパワーダイナミクスについて
13:40-13:50 質疑応答
休憩
13:55-14:55 ディスカッション
14:55-15:00 閉会
★ディスカッション中に挙がった議論をいくつかご紹介します。
「日本の教育を改善するにはどうすればいい?」
「日本では年齢によってライフコースが決められており、セカンドチャンスがない。全ての人にとって平等だが、インクルーシブではない。」
「日本では学校教育が唯一の教育の形だが、ホームスクールやフリースクールなど多様な教育の形を認めていくべき。」
「色々な生き方の選択肢が広がっていけば良い。だが、お金に余裕がない子が教育を受けたり給食を食べるためにも、一概に学校教育は否定できない。」
「一方でアフリカの教育の形はどんなもの?」
「自分は教育を受けられなかったから、子供になんとしてでも教育を受けさせたい親が多い。上昇志向で学歴主義。」
「一方で、本当に貧しくて夢を見ることができない人もいるし、エリートですごく良い生活をしている人もいる。途上国では不平等や汚職が問題。」
「物質的には恵まれている日本だけど、日本人の精神的幸福度は世界的に見てあまり高くない。幸せになるにはどうしたらいいだろう?」
「『生産性』や『効率』の追求が重視されているこの世の中、ゆったりできる居場所がないのかも。」
「『幸福』はどうしたら測れる?」「自己肯定感?」
「他人の物差しで自分の幸福を測られるのはなんとなく気が引ける。」
「SDGsのゴールは、どれだけ恵まれているかのある種の指標にはなっているけれど、幸福には直結しないのかも。」
「アフリカは、『可哀相な国・恵まれていない国』というイメージが日本ではつきやすいけれど、実際のところ精神的幸福度はかなり高いよね。」
「仕組みや社会制度、社会に引かれたレールの影響で、『風の吹くまま気の向くまま』的な精神的余裕を持った生き方は難しいよね。」
「SDGsを達成するために、パワーダイナミクスを是正していくことは必ずしも良いことなの?どこまでがその国の文化として尊重されるべきなの?」
「正義というものの消化の仕方は各国で違うので、コンテクストを知ることが大事。コンテクストの中で当事者がどのように理解しているかをまず知り、議論のスタート時点に立つべき。」
「人権の価値観の違いをどう埋めていくかが問題。文化的な事情を考慮しても許容できない問題に対しては、他国が意見を言っていくべき。」
参加者の感想:
「今回のイベントに参加してよかったと思うことは、参加者の方やSDGs推進室の学生、教授の方々がSDGsをどのように捉えているかを知ることができたことです。特に、SDGsを本当の意味で推進するためにSDGsを批判的に捉え考えている姿勢が印象的でした。」
「西村幹子先生と高松香奈先生がお話の中で強調されていた、どこに視点が置かれていて、何を変えるべきなのか、を改めて考え直す必要があると思いました。」
“I learned/wanted to know more about the inclusion of the deprived sectors of developing countries.”
筆者の感想:
9月に行った第1回目の時もそうでしたが、SDGs座談会では社会貢献に意欲的な学生と出会えて嬉しいです。様々な関心や文化的背景を持つ方々が参加してくださり、自分では考えもしなかったような質問を投げかけてくれるので、とても勉強になります。また、今回は教育など身近な課題について考えることができたので、有意義な経験になりました。今後はより多くの学生や教職員の方々の参加をお待ちしております!
担当 ID25 川田采奈、ID24 鴨志田桃奈
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